『MOVE YOUR BUS』RON CLARK
教育者が語る組織論
ロン・クラーク氏の『MOVE YOUR BUS』を読みました。
Ron Clark氏はロン・クラーク・アカデミーの創設者であり、教師です。
28歳のときに、ディズニー社主催「全米最優秀教師賞」を受賞したことで有名だそうです。
そんな彼が著した書籍、『MOVE YOUR BUS』は、組織の構成員をランナー、ジョガー、ウォーカー、ライダーとドライバーの5種類に大別し、どのようにすれば効果的・効率的に組織を機能させられるか、これを換言し、いかに早くバスを走らせられるか、を説くビジネス書となっています。
①ランナー;期待以上のことをやってのけるヒト
②ジョガー;できる範囲で仕事をするヒト
③ウォーカー;引っぱられないと動かないヒト
④ライダー;座っているだけのお荷物
⑤ドライバー;組織のリーダー
筆者であるロン・クラーク氏自身がドライバー(校長)であることから、ドライバー視点でどのようにランナーからライダーに接すれば、より早くバスを動かせるか、に焦点を絞った構成内容となっています。
正直なところ、結構辛口な視点で執筆されており(ある意味で彼自身とても正直に書いているのだと思いますが)、自分はとてもランナーではないと思っているぼくは、読んでいてなかなか辛い書籍ではありました。
ただ、そんなぼくなりに、今までの行動を振り返り、直さないといけないな、と思う部分がいくつか見つかったので、そういった意味で、やはり良書だと思います。
端的に言えば、いかにバス前進の推進役であるランナーに頑張ってもらえる環境を作るか、そこにバスの速度は掛かっているのだ。
そういうコトがこの書籍で訴えているところだと感じます。
ジョガーは、ランナーの刺激を受けて、できるだけ頑張れ。そしてランナーがしているつまらない仕事を引き受けてくれ。
ウォーカーはせめて、ジャマだけはしてくれるな。そして誰にでもできることを積極的にこなしてくれ。
ライダーは去れ。
上記は、あくまでぼくなりの解釈で、書籍のどこにもこのような解釈は記されていません。
が、確かに、その通りなんだと思います。
いやはや、なかなかツライところがありますね。
ぼく自身、会社の中で仕事をしていますが、組織の前進よりも、やはり自分自身の頑張りや達成感といったエゴイズムが中心になっていたな、と思います。
そういった意味で、自分のためではなく、組織の成功のために、自分が機能するように心掛けないといけないな、と思いました。
こーた
相場急落時に買う銘柄
10月10日の米国市場下落が世界のマーケット下落を招いた
みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
そろそろ、というかようやった秋めいた季節になってきましたね。
10月10日の米国株式市場で、S&P500が3.3%下落、NASDAQが4.1%下落、NYダウは3.1%の下落となりました。
人間は理由を知りたい生き物。
大幅に市場が下落した、と聞けば、"なぜ"と思います。
その明確な理由があれば、それが答えとなり、もしなければ、ある程度の推測の下で理由がこじつけられることになります。
株式相場でおもしろいのが、往々にして後者の場合も存在すること。
株式市場とは、参加者全員のコンセンサスの下で運営されています。
つまり、不特定多数の市場参加者の様々な思惑の下で、株価というコンセンサスが市場を形作るため、一概にこの理由で動いた、なんて簡単に説明できない場合も存在するのです。
そういった意味で、やはり相場が生き物に例えられることも理解できる気がします。
みなの感性・感情が、マーケットという生き物に生命を与えているのです。
今回の下落は果たして、長期金利の上昇や、貿易摩擦の影響が原因なのでしょうかね。
米国市場の下落が、1日遅れて世界に波及しました。
我らが日経平均は3.9%安、香港3.5%安、上海5.2%安、韓国4.4%安、台湾6.3%安と、まさに米国市場が世界のマーケットを代表することを証明するかのように、世界市場が下落したことになります。
こういった、相場急落時にどういった銘柄を買えばいいのか。
もちろん、答えはヒトそれぞれ違うでしょう。
そこで、ぼくなりの相場急落時の購入銘柄をご紹介したいと思います。
個人的に、相場急落時の対応で、1番つまらないのが、投資信託を購入することだと思っています。
なぜなら、いくらで購入できるのか・購入することになるのかが、結果を見ないと分からないからです。
日本株のインデックス投信の場合は、概ねその日の終値で、投資信託を買うことになります。
しかし、その日の終値が果たして急落した水準で維持されるのかどうか、分からないのです。
もしかすると、終わってみたら相場が回復して終わる、という可能性もあるのです。
またアクティブ投信の場合は、約定が翌日になるパターンが多く、これまた翌日のマーケットの動きが予測できないため、いくらで買えるのかが分かりません。
外国株式も同様で、米国株インデックスを例にとると、注文をした日の米国相場終了時点の終値で買うことになります。
よって例えば10月10日に米国市場が急落し、10月11日に米国インデックスの投資信託の買い注文を入れると、10月11日の米国市場の終値で投資信託を買うことになるのです。
正直に言って、相場急落時はリアルタイムに思った金額で購入したいもの。
そのためぼくは、相場急落時は米国株ETFを、東京市場で買う、という選択をしています。
こーた
長期投資家にとってトルコは買いなのか?
いまトルコは買うべきなのか?
トルコの経済情勢が冴えません。
為替は過去の最安値を更新し、株式市場も世界経済危機であった2009年の水準に下落しています。
トルコは長期投資家にとって、いまは絶好の買い場なのでしょうか?
ぼくは否と考えています。
大幅な物価上昇局面にあるトルコ通貨のリラは投資対象かと問われれば、論外だと思っています。
短期投資家の遊び場、あるいは投機の場と捉えた方が良いと思います。
それでは株式はどうか。
米国ではTURのチェッカーコードでトルコETFの売買が可能です。
下記がYahoo! Financeで見られる、TURのMAX期間のチャートです。
確かにリーマン危機以来の水準にあることが分かります。
今回のトルコ・ショックの原因がどこにあるか。
それは、エルドアン大統領による独裁化でしょう。
国内で独裁色を強める間は、とくに大きな問題にはなっていませんでした。
しかし2016年のクーデターが起きた際に、クーデターの首謀者として自宅軟禁に置かれた米国人牧師について、トランプ大統領が今年の8月に牧師の解放を要求。
これを受け入れなかったトルコに対して、トルコ発の鉄鋼・アルミニウムの輸入に関税を課すという経済制裁に踏み切りました。
これ以降、為替の下落、消費者物価の上昇、株価の下落と連鎖し、現在のマーケットの水準に陥っています。
今回の一連の動きの鍵を握っているのは、エルドアン大統領でしょう。
彼が態度を軟化するか、退陣しない限り、問題は解決されないと考えられます。
また、強硬姿勢を強めれば強めるほど、更なる経済指標の低下、マーケットの低下のリスクがあると考えて良いと思います。
これほど米国に脅されてもへこたれないトルコの強さに、ある種の感慨を覚えますね。
世間では米中の貿易摩擦が中心に取り上げられていますが、その裏で、米トルコはそれこそ本当の貿易戦争を巻き起こしているのです。
米国が負ける可能性はみじんもなさそうですが、トルコ、というよりもエルドアン大統領がどこまで粘れるかでしょうね。
市井の投資家が出る幕ではないかなと、ぼくは考えています。
こーた
『必要か、リニア新幹線』橋山禮治郎氏
書評『必要か、リニア新幹線』橋山禮治郎氏
JR東海が推進する中央新幹線構想、リニア新幹線の経済性を検証したいと、書籍やgoogleなどで、関連文書を探しました。
しかしまともな文献がなかなか見つからないのです。
これほどの大規模・公共プロジェクトの経済的効果を検証するような文献が、まさか見つからないとは思いませんでした。
一言いわせてください。
大丈夫か、日本の学会。。。。
そんな中で見つかったのが、この1冊です。
橋山禮治郎氏による『必要か、リニア新幹線』です。
数少ない関連書籍の中で、学者の先生によって書かれた、リニア新幹線を悲観的な見地から検証する書籍です。
なお、初版は2011年2月3日に発行されています。
橋山先生ですが、専攻は政策評価、公共計画、経済政策だそうです。
大平首相の田園都市国家構想立案に参画したほか、各種政府審議会・委員会委員を歴任されたと著者紹介には記されています。
書評なのですが、まずは結論から。
あまり議論(質)の深い本ではありません。
著者紹介でも記されている通り、公共計画・政策評価の専門家であり、過去様々な公共プロジェクトの評価に関わっておられるようですが、リニアの専門家ではありません。
そのため、本書170ページで構成されるのですが、その大部分である54ページが過去の「インフラ投資の成功と失敗」に充てられています。
要は、自分の過去の研究成果発表の場となってしまっているのです。
また1番肝心な経済性について「筆者の試算では、リニア中央新幹線単独のプロジェクト収支は開業当初から赤字の発生は必至で、黒字転換の目処も経たない。」(p.149)と記されていますが、その試算となる根拠は一切記されていません。
さらに書籍を通して、東京-大阪間の旅客輸送は伸びていない、座席利用率は55%~65%しかない、と記されていますが、この書籍が記された2011年現在は確かにリーマンショックの影響で利用状況は減少傾向でしたが、長期トレンドでは右肩上がりです。
そして、鉄道は航空業界と違い、座席利用率を上昇させることに大きなメリットはないでしょう。
それよりも、需要が伸びた分、満席で乗れない顧客が出ることを防ぐ目的で、列車を増発し、収入を増やすことの方が大事だと思います。
(東海旅客鉄道 2018 Fact Sheetsより抜粋)
公共政策の専門家からの見地が伺い知れて、面白い書籍だとは思いますが、リニア専門家ではないため、議論の質が浅く、説得力のある数値が根拠とともに示されているわけでもありません。
終始、悲観的な内容で、リニアを論じていますが、どちらかというと、東海旅客が公開している主張に対応する形で、この部分はこういう理由で説得力に欠ける、この部分はこういった理由で不可能だと思う、というような個別具体的な論調で、存在意義を問うことが学者先生には求められるのではないかと思いました。
こーた
以前にJR東海の記事を書いたものです。
ウォルマートによる西友売却はどうなった
日経での米ウォルマート売却報道から はや3ヶ月
日経が米ウォルマートの売却を報道したのが2018年7月12日です。
あれから、はや3ヶ月が経とうとしています。
色々な憶測や、報道に基づくコメントがなされましたが、公式な決定発表はいまだ行われていません。
むしろ西友のHPでは売却の検討や、第三者との検討も一切行っていないとの声明が発表されています。
ここまで相反する発表がなされると、どちらか一方は事実と異なる発表と見なさざるを得なくなるのですが、この3ヶ月でなんの進展もないところからすると、ウォルマートによる西友の売却はないのかもしれません。
日本経済新聞は何を根拠に報道を行ったのでしょうね。
国民の知る権利を保護するためにも、報道の自由、情報源の秘匿はある程度守られるべきものとは思いますが、ここまで音沙汰がないと、報道機関の信用に関わる気がします。
ウォルマート側の見解である、売却はしない、というストーリーの信憑性が高まりますね。
しかし日本が高齢化社会であり、右肩下がりのマーケットであることは確かです。
西友の売却如何を問わず、何かしらのイノベーションが問われる業界であることには間違いがありません。
小売店に行き、買い物かごを手に店内を物色し、購買物を手にレジに並んで、精算する。
そんな何年も変わらない風景も、変わるべきとき、あるいは変わらない時代になってきているのでしょう。
セルフレジ、精算だけセルフ、無人店舗、等々、アイデアは様々出てきていますが、まだどれもメジャーにはなっていない印象です。
eコマースと対をなす、リアルなお買い物の風景。
やはり鍵を握るのは、"精算"なのでしょうか
こーた
日本経済新聞による売却報道がなされた時の記事です。
菅官房長官による携帯料金への言及を考える
菅さんによるトランプ流の人気取りか
菅官房長官による携帯料金への言及があってから、KDDIを筆頭に通信株の値動きが冴えません。
法治国家で先進国の日本において、政府高官による一方的な見解を世間に公表するのは、個人的にはどうかと思っています。
なぜ、このタイミングで、なぜ官房長官の立場から、というようにたくさんの疑問があります。
真偽のほどは良く分からないですが、自民党の人気取りとの意見もあるようです。
このような手法、最近はトランプ米大統領が得意とする手法ですが、やはり政府の高官がとるべき政治手法ではないと思います。
まずは様々な立場の人たちで議論し、結論を出すべきかと思います。
通信会社・一般市民・学者・格安通信会社・そして政治家。
その議論の上で、多数決の意見に同調するのであれば、特に異論はないと思います。
一方で、多数決ではない意見を重んじるのであれば、協力なリーダーシップの下で、正規の手法、つまりは法律の改正等で事態を図るべきなのでないでしょうか。
それなりの立場の方が独断と偏見で意見を述べるのは、ある意味で後進国の独裁政治家が取るような手法だと思います。
人気取りには良いのでしょうが、これでは既存事業者が困惑するだけですし、その株主もたまったものではないでしょう。
公平・公正な競争が経済を発展させるのであり、公平・公正とは一定のルールの下で自由に事業を展開できることを保証することなのだと理解しています。
ルールを整備する側の人間、ルールを監督する側の人間が、ルール無視で意見を述べているようでは、まだまだだと思ってしまいます。
しかし、日本の通信会社の配当利回りは良いとは言われますが、アメリカに比べると大したことないですよね。。。
こーた
個別株②;帝国繊維
社会の安全、生活文化の向上に貢献する企業
個別株トピックの第2弾は帝国繊維です。
見出しにも書きましたが、企業理念は「社会の安全、生活文化の向上に貢献する企業」です。
東証一部上場会社なのですが、相当マイナー企業だと思います。
時価総額では700億円ほどで、それなりの規模ではないでしょうか。
上場来高値は1990年7月につけた3,220円で、当時では870億円に相当します。
まぁ、バブル高値を超えられていない典型企業ではあります。
創業は1887年の超老舗企業で、防災事業と繊維事業を営む会社です。
比率としては防災事業が売上・利益ともに75~80%ほどを占めている状況です。
帝国繊維にぼくが投資を始めたのは2010年なので、8年ほどの付き合い、ということになります。
れっきとした防災企業なのですが、認知度はいまひとつで、Yahoo!ファイナンスで「防災」と検索しても、トップ15にも表示されません。
ですが、近年スパークス・グループが同社に対して株主提案を行ったことから、もしかしたらご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
具体的にどのような防災事業を営んでいるのか。
主に消防ホースの販売で最大手らしいのですが、原子力発電所や空港向け大型防災資機材にも強みがあるようで、東日本大震災の発生後に原子力発電所の防災対策が盛んとなった2013年から2014年にかけて直近での最高益を計上しています。
当時の売上高当期純利益率は15%近くにも達し、超高収益企業でしたが、2017年度は11%ほどに低下しています。
この会社、事業内容も収益性もかなり魅力的な企業だと思うのですが、財務戦略という意味でガバナンスがとても脆弱な会社だと言わざるをえません。
2017年4月にスパークス・アセット・マネジメントから公表された「帝国繊維取締役会に対する当社の要望について」がかなり秀逸だと思いますので、要点を一部抜粋させて頂きます。
・2016年度末時点で、総資産のうち、67%が現金・有価証券で占められている。
・2016年度末時点で、総資産が600億円ほどであるのに対して、185億円程度のヒューリック株式が保有されている。なおヒューリックは不動産会社であり、当社とはシナジーが薄いと考えられる。
・優良な事業から稼ぎ出さ れる潤沢な営業キャッシュ フローが、設備投資にも株主還元の拡充にも使われ ず、現金としてバランスシー ト上に蓄積され続けている。
以上です。
要は事業内容はピカイチ。経営方針も悪くない。一方で資本政策は最低。
そんな状況です。
配当性向は日本企業お決まりの30%台で、大した設備投資もなく、残り70%が年々現金・有価証券として積み上がっている状況なのです。
さらに腹が立つのが、IRの情報開示もいまいちなこと。
近年経営戦略として、「消防ホース・防災車輌・資機材・防火衣等特殊被服の4事業分野で確固たる業界№1の地位を確立する」と掲げられ続けているのですが、現状の地位がどれほどのもので、具体的に確固たる業界No.1とはどれくらいのシェアを握れば確固たるNo.1なのか、ここ数年状況がどのように変わっているのか、まったく不明瞭なままでいます。
つまり投資家とコミュニケーションが上手く取れていない。
今年の株主総会ではスパークスが増配を提案したのですが、その際に上記ヒューリック株式についても言及されていました。
帝国繊維取締役会の回答が株主総会招集通知に下記のように記されています。
意味が分からない。
仏の顔も3度まで。
もしスパークスが無理なら、村上ファンドかライブドアのように敵対的にでも企業価値向上のための財務施策をとるような動きを迫る必要があるのではないでしょうか。
こーた