ハイ・イールド債券 = ジャンク債
ジャンク債に見る日本マーケット
つくづく名前ってすごいな、って思いますよね。
ハイ・イールド債(High Yield Bond)と聞けば、利率の高い収益性の高い債券を思い浮かべますが、ジャンク債(Junk Bond)と聞けば、いわゆる「くず債券」であり、投資するか?と聞かれれば、思わずためらってしまうヒトもいるのではないでしょうか。
最近読んだチャールズ・エリス氏の著書にも、インデックス運用は、パッシブ(passive:"受け身")という表現が多くのヒトに誤解を招いている、と記載されていました。
確かにその通りだと思います。
ぼく自身の考えを書くと、"Active ; アクティブ"運用は、Active(積極的)ではなく、Challenge(インデックスを超えることを目指す無謀な)運用であり、"Passive;パッシブ"運用は、Passive(受け身)ではなく、King of Investment(投資の王道)運用だと思います。
閑話休題。
日本経済新聞に良記事が掲載されていたので、ご紹介したいと思います。
梶尾誠コメンテーターによる『「くず債」避ける日本の弱さ』(2018年8月24日付6面記事)です。
要点を抜粋すると下記になります。
・ジャンク債は1970年代にアメリカで発行され、当初米国だけのローカル債券であった。
・2008年のリーマンショック以降、ジャンク債の発行市場は世界に広がっている。
・背景は低信用企業の資金需要の拡大と、投資家のより高いリターンを求める需要である。
・Amazon.comは当初、約2,000億円をジャンク債市場で調達した。
・日本ではジャンク債投信の残高は3兆円を越すが、日本国内でジャンク債が発行されたことはない。
・その理由は、「貯蓄から投資へ」という個人金融資産のシフトが進まない事実に行き着く。
良記事だと思うのですが、1点だけ表現が分かりづらい部分があると思います。
「貯蓄から投資へ」という個人金融資産シフトが進まない、との記載がありながら、日本でのジャンク債投信の残高は3兆円を越しているのです。
これではある意味で矛盾していると捉えられかねません。
ぼくが考える日本国内でジャンク債が発行されない理由は、純粋に市場の厚みがないからです。
債券市場が発達・発展していない ⇒ 企業は債券市場で資金調達が不可能 ⇒ では、どのように資金調達するのか ⇒ 銀行融資
この流れが一般的なのだと思います。
なぜマーケットが成熟していないのか、と聞かれれば、債券投資のプロ(機関投資家)が育っていない、格付け機関そのものの信用が低い、債券組成機関(アレンジャー)がいない、等々様々な要因もあるのでしょうが、もはやニワトリかタマゴの世界です。
一言で片付けるなら、日本人はアメリカ人と違い、投資に対する知識水準が低いということなのではないでしょうか。
こーた