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前田道路の特別配当に思う

日本企業のガバナンスを問う

 

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2020年4月14日に前田道路株式会社の臨時株主総会が開かれ、総額535億円(1株につき650円)の特別配当決議が可決されました。

 

法定書類である臨時報告書によると、賛成率65.5%での可決とのことです。

 

今回の前田建設と前田道路による泥仕合は、今後の日本企業にどのような教訓を残したのでしょうか?

 

コトの発端は1月20日前田建設が前田道路へのTOB(1株あたり3,950円)を発表したことに遡ります。

(1月17日前田道路株式 終値 2,633円)

 

この発表により、前田道路の株式は1日のストップ高を挟み、1月21日に上場来高値である3,835円に達します。

 

TOB反対の姿勢を取る前田道路 経営陣は、対抗手段として前田建設保有する前田道路株式すべてを自己株式として買い取る提案を行いました(535億円相当、1株当たり2,615円)。

 

しかし前田建設はこの提案を拒否。TOBに対抗するため、前田道路 経営陣は株主還元という名の下に企業価値引き下げを狙って、当初自己株式取得に充てるはずだった535億円を原資に特別配当を行う決定を行いました。(2020年2月20日)

 

この時点での前田建設保有する前田道路株式は21.7%。

配当決議は出席した株主の議決権の過半数の賛成があれば可決しますが、前田道路は特別配当決議に反対の姿勢を表明しており、特別配当の基準日である3月6日(権利確定日という意味では3月4日)時点で、特別配当が可決されるかどうかは不透明な状況でした。

 

果たしてこのような不透明な状況下での特別配当が本当に株主還元だと言えるのでしょうか?

 

私はそうは言えないと思います。

 

なぜなら、株主はそのような不確定な事実に基づく投資を行うべきではないからです。

当たるか、当たらないか分からないような可能性に賭けるのは投資ではなく、博打です。

 

どうせ行うのであれば、取締役会で決議可能な中間配当か自己株式取得を行うべきであり、イチかバチかの臨時配当は株主還元とは言えないのです。

 

つまりは、今回の臨時配当はあくまで前田道路 経営陣の保身行為でしか無いのです。

 

感情論を抜きにして言えば、経済は資本の論理で動いており、TOBを仕掛けた前田建設に何の非もないのです。

 

要は前田道路の株主がTOBに応募するか、しないのか、それは前田道路株主が決めればよいだけのことなのです。

 

ニュースリリースで反対意見をわめき散らし、自己株取得や臨時配当で対抗策を実施するのは株主のためでも何でもありません。

 

こんな下らない、馬鹿げたコーポレートガバナンスがまだ平然と行われている日本企業に対して、失望の念を禁じえません。

 

おもしろがって周りで囃しているだけのメディアに対しても幻滅します。

 

こーた

 

 

毎年株主提案が出る帝国繊維も一向に変わらないですね。

coreusa.hateblo.jp