三菱食品による三菱商事からの自己株式の取得
大規模な自己株取得のニュースが続く
今度は三菱食品が親会社である三菱商事から自己株式を取得することが発表されました。
三菱商事は三菱食品株式35,416,459株(62%)を保有する親会社です。
三菱食品は2011年に明治屋商事、菱食、サンエス、フードサービスネットワークの4社が経営統合したことで誕生した食品卸企業です。
食品卸業界では圧倒的首位に位置しており、ライバル企業としては伊藤忠商事系の日本アクセス、国分グループや加藤産業が存在します。
規模の大きい食品卸業界だけあって、大手総合商社系の食品卸が大手に君臨しているのが特徴的ですね。
そんな三菱食品が2022年4月に予定される東京証券取引所市場区分の見直しに伴い、流通株式比率の基準を充足させる目的で自己株式の取得を決定したとのことです。
驚きなのがその取得規模。なんと発行済株式の23.8%に相当する13,600,000株を取得するとのことです。
取得相手は親会社である三菱商事で、素直に考えると62%→38%に持ち分比率が低下し、総合商社の子会社から外れるのかと思いきや、発行済株式から自己株式を控除して計算すると、自己株式取得後の三菱商事の議決権比率は50.11%を想定しているとのことです。
まさに考え尽くされた自己株式取得による流通株式比率の向上ですね。
買付価格2,592円は発表前営業日である26日終値2,880円に10%のディスカウントを加味した価格とのことです。
三菱商事、そして三菱商事株主にとっては割安な価格での売却となりますが、三菱食品、三菱食品株主にとっては有利な価格であり、トータルでみても三菱食品の有利な市場区分での上場というメリットが上回るのではないでしょうか。
取得総額353億円は三菱食品の手元資金961億円でまかなう予定とのことです。
しかしキャッシュリッチな企業ですね。。。
取得した株式は公開買付終了後に消却予定とのことです。
発行済株式24%の自己株式取得で、本来であれば1株価値は5月27日終値2,840円から31.6%(1/(1-24%))増加した3,740円近辺まで上昇してもおかしくないのですが、市場の反応は鈍く28日終値は36円(1.3%)高の2,876円となりました。
三菱食品は合わせて年間配当予想を50円から70円に引き上げており、自己株式増加による配当低減効果を加味しても配当総額は増加しており、ポジティブニュースです。
もうちょっと株価は上がっても良いと思うんだけどなぁ
市場はどう考えているんだろう・・・
福山通運とともに三菱食品の今後の株価動向もちょっと気にしてみようと思います。
こーた
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